2026年10月11日
「親知らずは抜いたほうがいい」と聞いたことがある方は多いと思います。ただ実際には、すべての親知らずを抜く必要があるわけではなく、生え方や周りの歯への影響によって判断が分かれます。
まっすぐ生えて、上下がきちんと噛み合っていて、歯ブラシが奥まで届いて清潔に保てている場合は、そのまま経過を見ることもあります。
また、親知らずは「抜く歯」とは限らず、将来、別の歯を失ったときに、その場所へ移し替える「自家歯牙移植(じかしがいしょく)」のドナーになり得る場合があります。自分の歯を使うため、噛み心地や歯ぐきとのなじみの面で利点があるとされています。ただし、歯の根の形や大きさ、移植する先の骨や歯ぐきの状態などによって適応は限られるため、誰にでもできる治療ではありません。「今は抜かずに残しておく」という選択が、将来の選択肢につながることもあります。
反対に、次のような場合には抜歯を検討することが多いとされています。
・斜めや横向きに生え、手前の歯を押していたり、手前の歯との間に汚れがたまりやすかったりする
・歯ぐきが部分的にかぶさっていて、腫れや痛みを繰り返している(智歯周囲炎と呼ばれます)
・親知らず自体や、手前の歯がむし歯になっている
・噛み合う相手がなく、反対側の歯ぐきを傷つけている
親知らずは一番奥にあるため、歯ブラシが届きにくく、むし歯や歯ぐきの炎症が進んでも気づきにくい歯です。痛みが出てから慌てるより、症状がないうちに状態を確認しておくほうが、選択肢が広がります。
抜歯や移植を考える際には、レントゲンに加えて、歯科用CTで親知らずの根の形や、下あごの神経・血管との位置関係を確認することがあります。位置が近い場合は、その情報をもとに、処置の進め方を慎重に検討します。
抜歯後は、腫れや痛みが数日続くことがあり、処置の難しさによって経過も変わります。そのため、仕事や大切な予定が重ならないよう、時期を相談して決めることもできます。
大倉山にある当院でも、「痛くないけれど、抜いたほうがいいのか知りたい」「他院で抜くように言われたが迷っている」というご相談をお受けしています。まずは今の状態を調べたうえで、抜く場合、残す場合、移植に活かせる可能性があるかどうかを含めて、それぞれの考え方をご説明します。
本コラムは一般的な情報提供を目的としています。治療の適応可否は、実際の診察・検査に基づき個別に判断いたします。
